ゴッドファーザー 愛のテーマ

年末年始にゴッドファーザーⅡ,Ⅲを録画して、今回何度も見直した。dTV でⅠ話を鑑賞した。映画上の評価100/100点、おすすめ度、ストーリー、設定、キャスト、演出すべて五つ星。
さすが、アメリカ国立フィルム登録簿に保存されるだけあって何度見ても飽きない。最も初めて見たわけではないが、見れば見るほど素晴らしい、のめりこんでしまう。鑑賞後はしばし感動を抑えきれなく放心状態だ。

日本ではやくざ映画の闘争劇は何度も映画化されていて話題となるが、劇場化するためのネタに枚挙にいとまがない。やくざに日頃縁のない人間から見ると、想像の難しい部分が多すぎるが、時おり組織間の闘争が報道されることから、日々命がけの生活をおくっているのだろうことは想像できる。平凡な市民には直接的な影響はさほどないと思う。

イタリア・シチリア島からの移民で構成されているマフィアの内情を時代とともに、流れの中で成り立ちを味わい深く鑑賞した。

画像2

人間のこころには、野心や欲望。そしてひがみや妬み、優越感、または劣等感など。どうしても避けて通れない感情や思いがあるが、ひときわつ際立たせているのはやくざだからということではないだろう。

日頃、警察権力から目の敵にされながら、それを承知で行動している人間たちである。納得できるところもあるとは言わないが、当然気も荒くなるのだろうか。背に腹は代えられぬとはいえ、自分の思い通りにならないといとも簡単に寝首を掻く人間たちである。

かつてのイタリア・シチリアがそんな生活圏だとは思わない。日本でも日清、日露、太平洋戦争の時代を眺めると、悲惨で残酷で理不尽な話題は数えられないほどある。移民だからというのではないだろうが、家族の絆の強さ仲間意識もうかがえる。当然、演じる俳優の演技からも感動が伝わってくる。

Ⅰ話からⅢ話を通じてアルパチーノが輝きを放っていると思った。愛するものを守ろうとするあまり、真実を胸の奥に秘めて生きてゆかざるを得ない男の生き様は見るものによっては痛々しい。

画像1

父である初代ドンが敵対する勢力によって瀕死の重傷を負うと、三男のマイケルは仇討を決行する。これまでのマイケルは一般市民で、学生時代を送り、第二次世界大戦では海兵隊に志願して功労を立てている。逃れるようにシチリアに逃亡して、潮時を待つことになるが、ここで土地の娘と結婚する。いっときの安らぎを求めたのだろうか。しかしマイケルにとって、どこへ行っても平安ではありえない。娘アポロニアは裏切り者によって自動車とともに吹っ飛んで爆死する。

数年後マイケルはニューヨークに戻り、学生時代の恋人ケイと再会して結婚して1男1女をもうける。

20世紀半ばは、女性の社会進出など望むべきもない時代である。女性の生き方はまた日本と大方似たような状況である。逆に男たちの生きざまはすさまじく常に命掛けだ。上等なスーツに身をまとい、身だしなみに極力注意を払い、相手を威嚇する。ファミリーを守るために常に死と隣り合わせだ。敵だとみなせば兄弟であろうと身内であろうと抹殺する。 

他人を殺めたら、当然報いを受けざるを得ないし敵も作ることになる。逃げおおせると思ってはいないだろうが、ドンともなると愛する家族が標的となることはいやでも想像できる。一人娘メアリーを失ったマイケルの嘆きはいかばかりだろうか。その瞬間、声さえ失うという嘆きをアルパチーノが見事に演じている。突然愛するものを失うということは、これほどにもつらいことなんだと知らされた。 Ⅰ話からⅢ話まで見ごたえのある、圧倒される作品であることは疑いようがない。